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ミズスマシの目は生物イチ


    

 私たち人間は、目が2つあって常に一定の方向を見ているが、前だけしか見えない。したがって後ろからの外敵には弱い動物といえる。
 トンボの目は2つだが複眼といわれるもので、これは後ろの方にも目がついているようなものだ。だから人間が指をぐるぐると回して捕りにいっても逃げられてしまう。

 生物の中で最もすばらしい目をもっているのはミズスマシではなかろうか。ミズスマシは、水の表面をいかにも軽やかにスイスイと泳いでいるように見えるが、あの4つの脚の下はオールのようになっていて、目まぐるしく動かしているのである。この動きを止めると死んでしまう。
 これはつまり人間の世界と同じで、不断の努力を続けていれば繁栄の道につながり、怠けていると社会生活から落後したりするようなものだ。

 さて、ミズスマシの目は2つだが、特別変った構造になっている。前方が見えるとともに、空から鳥や昆虫に襲われるのを防ぐために上の方も見えるのである。さらに水中のゲンゴロウなどを警戒するために、下の方も見えるのだから面白い。つまり前、上、下と、同時に3つの方向を観察しながら行動しているのである。

 他方、「生きている化石」といわれるカブトガニは、何億年も前から棲んでおり、一見、弱い動物と考えられている。瀬戸内海や九州近海の泥の海底で、小動物を獲りながらひっそりと暮らしている。ところが、このカブトガニは不思議なことに目が4個あって、前後左右を見ることが可能で、天敵に対する防衛の仕方も巧みなのである。
 またシュモクザメが異常に突き出た頭部の先端に、まるでレーダーのように広角で見える目をもっているのは有名である。

 ミズスマシ、カブトガニ、シュモクザメ・・・彼らは複眼どころか、それ以上の多面的な視野をもって身を守り、活動を展開している。これらを人間の生活に当てはめると、たとえば過去の歴史を点検し、現状を正しく認識し、そのことによって現在を誤ることなく、将来への展望も明確にする、といったことになろうか。せめて心がけだけでもミズスマシを手本にしたいものである。

◇◇ その他の項目 ◇ ◇
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