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魚たちは夏バテ知らず

| 夏は水温も上がり水の透明度もよくないが、人間の夏バテとは逆に魚たちの食欲ぶりは実に旺盛である。これはやがて迎える秋から冬に備えてのスタミナ増進の知恵であろう。 昔の人が、夏のスズキは「絵に描いてでも食え」といったのは、油が一番のっている旬であり、冬ともなれば「枯れススキ」となるからだ。 人間は文明生活をしているから屋内で冷房に慣れ、外出するとその気温差でバテたり、暑さのため食欲不振になり健康を害するケースも多いが、暑さに負けず大いにハッスルしている魚たちの夏の生きざまを見習うべきではなかろうか。生存競争の激しい中でも、体力温存の重要な役割を果たすため、スタミナ増進を図る魚は実に多い。 さて自然界の生物の誕生は春に一斉に始まるといっても過言ではない。桜咲く美しい国といわれる日本列島は、桜前線が北上し花見のシーズンが開幕すると、トンボやチョウ、それに小鳥たちも活動を開始する。 そのころ、海の中でも例外ではなく、水ぬるむ3,4月頃から魚たちの産卵シーズンとなり、タコやイカなども無数の卵から孵化を始める。マダイは桜の花が咲くころサクラダイと呼ばれ、初夏のころにはムギワラダイという。メバルはたけのこのシーズンには脂肪がついてタケノコメバルとも呼ばれる。 魚は一般に適水温の範囲なら、水温が除々に上がると活動も活発になる。魚の体内の生理活動は、1℃の差は人間の5℃の等しいともいわれ、春の静かな海から夏の潮流の激しくなるときは、潮が動いて水中の酸素が豊富になり、魚を元気づけることになる。これはエサとなるプランクトンが流れてきたり、小動物が活発に動き始めたりすることと関連がある。 海の中で最も多いイワシは海の米といわれ、続いて麦にあたるアジ、サバも夏は活発にエサを食べて行動する。この短距離選手の背後にはカツオ、ブリ、カンパチの中距離ランナーが控え、更にその後ろにマラソン選手のサメやマグロの群れがいる。 このような食うか食われるかの弱肉強食の厳しい中を、それぞれの魚たちは健康を守るため、懸命の努力をしているのである。 |