株式会社清和物産

豊かな食性やストレスをためない
泳ぎ方が長寿の秘訣


 私たちの身近にいる淡水魚のコイは、魚の中で寿命の長さはトップクラスであろう。
 三重県の多度町に老舗の有名なコイ料理屋があって以前そこの主人に聞いて驚いたのが、先代から印をつけて識別されている一番古いコイは、120歳にもなるという。そこの主人は七代目とか。

 コイの稚魚は一年目に体長10〜20cmなのが、二年目で24〜30cmとなり、三、四年で成熟する。十年たっても55〜70cm程度で、成長してもどんどん大きくなるとはいえない。それだけに2mを超す大物は、数十年から百数十年ということになろう。
 
 寛政四年に琵琶湖の沖の島で、七尺余り(約2.3m)の大ゴイを釣った記録がある。わが国最大といわれたこの野生ゴイは、どれだけの寿命だったのか。なにしろウロコ一枚が6.6cmあったというから驚きである。

 コイの寿命の秘密は、ゆったりと泳いで他の魚のようにピッチをあげないことや、ストレスがたまらない省エネ型の泳ぎ方にあるのではないか。また豊かな食性が寿命に結びついているかもしれない。
 
 夏場はサナギや麦、米ヌカなどの穀物に魚の内臓を混ぜたものを好み、秋深くなるとサナギをやめて豆粕や米粉、魚粉と野菜を混ぜたものを好む。こういう食性が健康によいようだ。脂肪分を多食すると病気になりがちである。このことは人間の食生活とも共通点があるだろう。

 またコイは陸上にあげて長距離輸送しても、体の水分の貯えが多く、ぬれたタオルなどで巻いておけば一週間ぐらいは平気で生きる。我慢強さナンバーワンの魚だ。
 そしてコイは水中にいるとき、川底や池の貝類を、独特のノドの奥にある臼のような歯でつぶして食べる強じんさもある。厳しい冬に備えて、秋はコイにとって最も食欲旺盛の時期である。これは冬中じっと休養して、来るべき春を待つ、スタミナの温存期間といえよう。

 人々が端午の節句に鯉のぼりを立てて男児の前途を祝い、立身出世を願うなど、コイにあやかろうとするのも、昔から理由のないことではないのである。

◇◇ その他の項目 ◇ ◇
イセエビは長寿のシンボル ミズスマシの目は生物イチ
ツルは千年、カメは万年 渡り鳥のエネルギー効率はコンピュータ並の正確さ
バランスのよい食事と睡眠が百獣の王の秘訣 くじらの世界では老を敬い、幼きを守る
豊かな食性やストレスをためない泳ぎ方が長寿の秘訣 虫も食わぬ汚染米
少量なら酒は『百薬の長』 ホタルの光はダテではない
魚たちは夏バテ知らず 人間も動物も睡眠・運動・休養・食事そしてストレス解消が健康の秘訣