真夏に「かぜをひいたかな」 「なんとなく体調が悪い」
というのが冷房病であることが少なくありません。
冷やしすぎや、冷風を直接からだに受けることなどが主な原因です。
冷房で体の調節機能が変調をきたしてしまう |
人は本来、環境に適応する充分な能力を持っています。この能力のことを、ホメオスターシス(生体恒常性機能)といい、さまざまな環境に応じて、血液の成分や体温が微調整され、生体の維持がはかられているのです。 ところが、人工的な環境が引き金となって、ホメオスターシスがうまく働かなくなってしまうケースが増えています。 冷房病という病名は俗称で、体が環境に適応できなくなった、環境に対する不適応症候群の一つが、冷房病なのです。 |
冷房病の症状とは・・・ 体の冷え、ほてり ・ 倦怠感 ・ 食欲不振 ・ 頭痛 ・ 不眠 ・ 手足のだるさ ・ 下痢 ・ 腹痛 ・ いらいら ・ 神経痛 ・ 生理不順 ・のど、頭の痛み(かぜをひきやすくなった) ・ 皮膚の荒れ など。 |
夏のからだは “お暑いのがお好き”? |
暑い夏になると人間の体は、「暑熱順化」 を行い、「快適」
と感じる気温も冬場より 2〜3℃高めになっています。 というのも、人間の体は夏になると、じっとしていても消費するエネルギーの量が、意外にも冬場より1〜2割減少します。 その結果、体に供給される熱の量も当然減ります。 “お暑いのがお好き” 状態になっている夏のからだを、長時間冬に近い室温の中に置いたら、どこかおかしくならないほうが不思議です。 |
冷房で体表面の温度が下がることにより毛細血管が収縮し、全身的な血行不良が起きることが、冷房病の主な原因と考えられますが、暑い戸外と冷えすぎの室内と温度差の大きいところを出入りすることによる、温度差ストレスも一因である可能性も強いようです。 |
汗はもって生まれた高性能の冷房装置 |
冷房を上手に使って、適温で快適な環境をつくるのも、あまりにも暑くてじめじめするような時には、健康を維持する手助けになります。 |
ただ、環境に対して過保護になるのは禁物です。 子供は新陳代謝が活発で、暑い時は盛んに汗をかきます。 涼しくしてあげようとつい、冷房や扇風機を使いがちですが、冷やしすぎには注意して、できるだけ自然な環境にしておくことが大切です。 |
特に乳児の場合は、一歳までに体温の調節機能が確立されるので、このような時期に、自然の環境に触れることなく、夏は冷房、冬は暖房という人工的な環境の中で育ってしまうと、自分で適応する力が育たなくなります。 |
大人も子供も、いちばん重要なのは自然環境と冷房を上手に組み合わせて夏を過ごすことです。 汗は持って生まれた高性能の冷房装置です。 人工の冷房装置に頼りきることなく、暑い夏を乗り切ることがほんとうの健康をもたらしてくれます。 |
冷房病を防ぐ方法 | |
体の冷え過ぎを避けること、衣類を上手に使って調節すること 温度差の激しい室外との出入りをできるだけ少なくすること!! |
|
職 場 | 特に女性は衣服で身を守る・・ 体の熱の8〜9割は皮膚から奪われます。ストッキングだけでも足の皮膚温は1〜2℃高めになります。冷気は下にたまりやすいので、さらに、靴下やひざかけなどで下半身の冷えを防いだほうがよいでしょう。 男性は上着を脱ぎ、ネクタイをゆるめるなどして、できるだけ温度を下げないでも良いように協力してください。 冷風のあたる場所は避ける・・ 直接風があたると思いのほか体温を奪われてしまいます。 |
家 庭 | 外気温より5〜7℃低めが目安 こまめに温度調節しましょう。 |
お年寄りは急激な温度変化に注意 暑い外から急に冷房した場所に入ると、脳などの血管が急激に収縮して危険です。逆の場合も、血管が急激に拡張して貧血などを起こすことがあります。 外から冷房した場所に入る時は、玄関口などの日陰で汗を拭いながら体のほてりをとってから、逆の場合も急に外に出ず、まず日陰で体を慣らすことが肝心です。 |
|
軽い体操やマッサージ、入浴で体の調子を整える 冷房に長時間あたった日の夜は、軽い体操やマッサージで全身をほぐすようにして下さい。 収縮しがちだった血管を拡張させ、冷えを防ぐ効果が期待できます。 入浴にも同じ効果があります。 |
|
寝る時はなるべく冷房を使わない 夜間は体の機能が活発ではありません。 しかも真夏でも明け方の気温はかなり下がります。 したがって、冷房はタイマーを利用するか、できれば使わず、寝苦しい夜は扇風機を上手に使いたいものです。 しかし、扇風機の風を直接体に受けることはいけません。 睡眠中の生体リズムが乱され、寝冷えの原因となります。 扇風機で部屋の空気をかきまわす程度にとどめましょう。 |