株式会社清和物産

急性腎炎(きゅうせいじんえん)
  
(急性腎炎症候群)
   (きゅうせいじんえんしょうこうぐん)

 頭痛、食欲不振、浮腫(むくみ)などが急激に出現し、血尿と蛋白尿が認められ、尿量減少、血圧上昇があり、発病初期は、腎機能も低下することが多いとされています。
 上気道炎や扁桃炎など小児に多い溶連菌感染後におこる急性腎炎は、発病時の症状がはげしくても、治りやすいといわれています。

 病理組織学的には、管内増殖性糸球体腎炎を呈します。しかし最近は、溶連菌感染が減少したために、むしろIgA腎症や膜性増殖性糸球体腎炎で、急性腎炎の症状を示すものの比率が増加しています。このような場合は、治療によって症状が軽快しても、その後は慢性の経過をとりますので、溶連菌感染後の急性腎炎か、そうでないのかを医師からきちんと診断してもらうことが大切です。

■診断・症状・経過
 
診断を確定するには腎生検が必要です。このほか、溶連菌感染後の腎炎か、それともIgA腎症なのかを鑑別するためには、腎疾患の既往歴の有無、かぜなど上気道炎症や扁桃炎などの感染から腎臓病の症状が出現するまでの期間、免疫の異常などがあるかどうかの血清補体価などを参考にします。

 また、急性期の症状が強く、しかも軽快のきざしがみえず症状が進行性のものは、急速進行性糸球体腎炎の疑いもあるので、注意する必要があります。

 症状としては、蛋白尿、血尿、乏尿、浮腫あるいは高血圧などがあり、発病初期には、これらの症状がかなり重いこともあります。
 溶連菌感染後急性腎炎は、適切な治療を行なえば予後は良好で、およそ65パーセントは発病後2か月以内、85パーセントが3か月以内、95パーセントが6か月以内に、尿所見の正常化が認められると報告されています。症状が派手なわりには、きわめて治りやすい病気といえます。

 しかし、注意したいのは、尿所見が正常化しても、かならずしも病気が治癒したということにはならないことです。ふつう、糸球体病変の回復は尿所見の正常化から、さらに6か月から12か月程度は遅れるといわれています。
 したがって、生活上の注意は、この点を十分に考慮する必要があります。


■治療
   
    急性腎炎症候群(急性腎炎)では、臨床的な病態から、乏尿期(尿の出のわるい時期)、利尿期、回復期および治癒期の4つに分けて治療および生活上の注意を行なうのが一般的です。

@乏尿期‥乏尿期には、発病時に一過性ながら腎機能が低下し、とくに顔に目立つ浮腫、高血圧、血尿、蛋白尿がある時期は、入院治療が必要になります。食事は、食塩、蛋白質、水分を制限しなければなりません 。
 安静と適切な医療により尿量が増加して浮腫が軽減し、血圧が正常化してきた時期を利尿期といいます。

A利尿期‥この時期でも、なお入院が必要で、食事療法を行ないますが、ベッドで読書を許可され、排便、排尿はトイレで行なうことができます。
 さらに症状が改善し、浮腫が消失して血圧も正常となり、蛋白尿や血尿が改善する傾向がみられるとき、この時期を回復期といいます。

B回復期‥この時期になったら、食事制限を緩和し、安静も漸次解除して、室内の歩行や座っての読書なども医師から許可がおりるようになります。
 そして、回復状況によって、主治医と相談のうえ退院が可能となり、軽い家事程度なら許可が出ます。しかし、学生の場合は、退院しても通学は控えるよう指示が出ます。
 さらに、尿蛋白が痕跡程度から陰性化したころになると、学校での学習に参加できるようになります。この時期を治癒期といいます。

C治癒期‥学童の場合、通学しても、はじめのうちは教科体育は参加させず見学をさせます。そしてごく軽い運動から参加させていき、尿所見、臨床検査所見などの悪化がみられなければ、徐々に運動量をふやしていきます。
 しかし治癒後6か月ぐらいまでは、あまりはげしい運動や遠足、ハイキングなどスポーツ的要素の強い活動はさけるようにすることが大切です。
 この治療方法は、溶連菌感染後の急性腎炎以外の急性腎炎群においても同じです。しかし、この場合は症状がきわめて短期間で消退するものから、長く遷延するものまで、臨床経過は多彩であり、経過が遷延する場合には、慢性に経過する腎炎として、治療や生活上の注意をすることになります 。




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