■原因 |
輸血、あるいは注射、傷口から、主として血液を介して、ウイルス(HBV)が体内に侵入し、感染をひきおこしますが、経口的感染もあります。
感染して肝炎を発症する場合と、肝炎をおこさない不顕性感染の両方があります。最近は献血で、HBs抗原のスクリーニングがされるようになったので、輸血後のB型肝炎はほとんどありません。 |
■症状 |
黄疸、発熱、全身倦怠感といった、A型肝炎と同じような急性症状で発症しますが、A型肝炎に比べ、高熱となることはまれです。
免疫機能の不十分な乳幼児期に感染を受けた場合や宿主の免疫機能が低下した病態、免疫抑制薬の投与を受けている場合に感染すると、持続感染者(キャリア)へ移行する例があります。 |
■診断 |
B型急性肝炎の確定診断は、血中HBs抗原の検出によります。 検査時期が遅れ、HBs抗原が陰性化した後では、1〜3か月以内に、IgM型(免疫グロブリンM型)HBc抗体が検出されます。
肝臓の組織の一部をとってきて、細胞レベルで診断する肝生検では、A型肝炎、C型肝炎に比較して、肝実質の変性壊死の程度がやや強く、ときには小葉中心部の帯状壊死がみられますが、特徴的な所見を示すことはありません。 |
■治療 |
治療は、A型肝炎と同じです。2パーセント前後に劇症化がみられますが、正常な免疫反応を示す急性発症例では、予後は良好で、慢性化や持続感染への移行はまれです。 |
■予防 |
B型肝炎ウイルスは血液中にあるため、感染経路は輸血、医療事故、性交渉などですが、すでに感染している人は、再感染しません。 日本では40歳以上の人のうち50パーセントは感染の既往があります。感染の機会をさける注意が必要です。積極的予防として、HBs抗体含有免疫グロブリン製剤とHBVワクチンの注射があります。 |
■B型肝炎の将来予測 |
今日、B型肝炎ワクチン(HBVワクチン)による予防対策の実施によって、B型肝炎キャリアの数は減ってきています。
とくにキャリアの母から子への出産時の感染が激減しています。さらに、キャリアの家族、夫婦、婚約者の未感染者に対するHBVワクチンの実施、また海外長期出張者、職業的に感染の危険のある医療関係者などの未感染者にもHBVワクチンが実施されるようになりました。
最近のキャリアの調査で、HBVキャリアの90パーセントは、ほとんど問題のないキャリア(HBe抗体陽性)に移行し、慢性肝炎、肝硬変、肝細胞がんに進行するのは、10パーセント程度だということがわかってきました。 このような実情からB型肝炎は将来、数少ないものになると予測されます。 |
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